学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第203回のテーマは「先生が宿題のチェックをきちんとしてくれない」。
宿題は学校・学年・学級ごとの慣習的な取組み
この連載で、これまでも何度か宿題に関することを話題にしています。「量が多い」「生成AIの使用」「親のマル付けの負担」などです。宿題は法的に位置付けられているものではありません。学習指導要領には「宿題」という言葉は出てきません。宿題は、それぞれの学校・学年・学級が、それぞれの判断で慣習的に取り組んでいるものという位置付けになります。
宿題に関しては、家庭での学習習慣を付けることなどに一定の効果があるとされています。ただ、その日の学校での学習の補充・発展として捉えた場合、「計算ドリルの31番を全員がやってくる」のような形では学びの質にばらつきが出る可能性があります。宿題だけではないのですが、理解度が高い子供にとって課題は簡単過ぎるものですし、理解度が低い子供にとっては逆に自力では解くことができない可能性があります。家庭で取り組むということを考えると、一律に同じものを出すというやり方には、改良の余地があるでしょう。現在、GIGA端末の持ち帰りをしている学校も多いです。そういった状況であれば、宿題についても個に応じた対応もしやすいでしょう。
宿題は適切に対応する
ところで、今回のテーマである「先生が宿題のチェックをきちんとしてくれない」という訴えが親からあったら、学校(教師)は迅速に対応すべきです。宿題に関して、保護者は「しっかりとやらせないと…」という思いで家庭で取り組ませていることが多いです。共働きの親も多いはずです。夕方から夜の限られた時間の中、色々と工夫や苦労をして、家庭での宿題に取り組ませています。ドラマや漫画などでも、子供が出てくる家庭のシーンでは「宿題やったの?」という親のセリフがよく出てくるイメージがあります。このように保護者は、それなりに気をつかって子供に宿題を取り組ませています。学校において、取り組んできた宿題を適切に対応することは当たり前のことです。
今回のような訴えは、担任に直接言ってくるものではないことが多いです。保護者は担任に対して、そういったアプローチをしたけれども、らちがあかないので、その上の立場の人へ連絡をしてきているというケースが多いはずです。こういった状況は教師や学校の信頼感を下げることにつながるものです。もし、初任者などの学級でこういった訴えがあった場合、早急に対応をしていきたいです。この状況は、宿題のケアなどができないほど余裕がない、または、初任者が宿題というものの捉え方を間違えていることを意味します。可能であれば、それ以外の部分の仕事を調整し、きちんと学級の子供と関わることができるような状況を作る必要があるでしょう。初任者の教員にとって宿題ときちんと関わることはとても大事なことです。宿題へのケアができないような状況でならば、宿題を出すことを減らす(またはやめる)ことなどを考える必要があるでしょう。学校が出した宿題を担任がきちんと対応できないということは、学級の日々のさまざまな取組みにも影響を与えます。学級に「適当で良い」「約束を守らないで良い」という雰囲気が出来上がってしまいます。そういったことは宿題のことだけでなく、さまざまな点で不都合が生じてくるはずです。
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【相談対応Q&A】先生が宿題のチェックをきちんとしてくれない
公開日時:2024-11-08 19:45:03
カテゴリ:事例/その他
- 【相談対応Q&A】先生が宿題のチェックをきちんとしてくれない
<鈴木邦明>
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