学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第200回のテーマは「アフターコロナなので、子供同士を関わらせてほしい」。
コロナによる子供の育ちへの影響が見えてきた
新型コロナウイルスの本格的な流行からもうすぐ5年になります。病気への対応などはある程度見通しが持てるような状況になっています。ただそういった面ではない所でコロナの影響と思われるものが見えてきていることも事実です。
私は大学で教員養成、保育者養成を担当しており、幼稚園・保育所・小学校の現場を訪れることがあります。最近、訪問先で次のような話を聞きました。ある小学校の校長からは、「このところ、入学してくる1年生のようすが以前とは少し違っているように感じている。そういったことも関連しているのか、低学年・中学年で学級が落ち着かないケースが増えているように感じている。」ということでした。また、ある幼稚園の園長からは「4歳児(コロナ流行の年(2020年)に生まれている)は、その上の子供たちと何か違う感じがする。」というものです。
小学校のケースでは、現在の小学校低学年・中学年は、コロナの流行開始時に幼児期だった子供たちです。また、幼稚園のケースでは、コロナの流行開始時に生まれた子供たちです。コロナの影響はどの年代に対してもありました。生活様式を変える程、大きな影響がありました。ただその影響は年代によって違いがあるように思います。私は現在50歳代前半です。コロナの流行は40歳代後半でした。色々と変化がありましたし、苦労もしましたが、人格形成や身体に著しく変化があったとは思えません。それが年齢が下がるにつれ、影響に違いがあります。
たとえば、この春に大学を卒業した世代(現在23歳)は、高校卒業時、そして大学入学時がコロナの流行とぶつかっています。大学生活も対面での学びや活動ができず、苦労をしていた人たちです。大学時代は、大学での学術的な学びはもちろん、バイトを含めさまざまな人との関わりや体験から学ぶことがあります。そういったものが上の世代とは少し違っています。そういった世代の人たちの多くがこの春から社会に出て働いています。
先程、話題にした現在の小学校低学年・中学年・4歳児など、それぞれがコロナの影響を受けながら成長をしています。一時期、「三密を避ける」などが重視されました。2020年に生まれた子供は、0〜1歳の時期に周りとの関わりをかなり制限されました。感染への不安から高齢である祖父母とも会うことができなかったケースも多かったです。その時期に幼児だった子供たちも本来ならその時期に体験した方が良いこと(トラブルも含めた他の人との密な関わり)をできずに育っています。これまでも社会構造の変化は、子供の育ちに影響を与えていました。コロナはさらに大きな影響を与えていたと考えられます。
人と人の関わりが重要に
また、GIGAスクール構想により学校でデジタルでの取組みが増えています。そういった状況では、以前にも増してリアルな形での人と人との関わりの重要性が高まってきているのだと私は考えています。人と人が関わる取組みを意図的に取り組んでいくことが必要なのだと思います。たとえば、運動遊び、レクリエーションのようなものを色々な機会に取り組んでいくことなどです。
先程も書いたように社会全体がデジタルでの関わりが多くなっています。在宅で仕事をする人も増えましたし、会議もオンラインでできるようになりました。そういった状況だからこそ、人と人の関わりが大切であり、そういった中で学校や園の役割が大切になってくるのだと思います。ある時期に取り組むことができなかったこと(密な人との関わり)は後からでも取り組んでいくことが大切なのだと思います。コロナの影響はまだわかっていない部分もあります。子供たちをしっかりと見つめ、その時その時で必要だと思われることをしていきたいものです。
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【相談対応Q&A】子供同士を関わらせてほしい…アフターコロナ
公開日時:2024-10-18 19:45:04
カテゴリ:事例/その他