保育のAI技術活用を共同研究…負担軽減や個性発見に期待

公開日時:2024-09-17 10:45:03  
カテゴリ:教材・サービス/その他

AIによる「動画解析&個別レポート」
AIによる「動画解析&個別レポート」
AI技術活用に関する共同研究
AI技術活用に関する共同研究
AIによる「動画解析&個別レポート」の魅力度(保育士)
AIによる「動画解析&個別レポート」の魅力度(保育士)
AIによる「動画解析&個別レポート」の魅力度(保護者)
AIによる「動画解析&個別レポート」の魅力度(保護者)
 ネクストビートとエフバイタルは2024年9月12日、保育・幼児教育における最新のAI技術活用に関する調査研究の結果を公表した。動画とAIの活用により、保育者の負担軽減や、子供の個性の発達などの発見が期待される結果となった。

 調査は2023年10月1日〜2024年4月30日、保育に関する保育者・保護者の意識実態を把握し、「子供の発達特性の可視化」に対するニーズを調査することを目的に実施。エフバイタル社が開発中のAIによる「動画解析&個別レポート」サービスを見てもらい、感想を尋ねた。対象人数は、Webアンケートに保育者63名、保護者278名、デプスインタビューに保育者8名、保護者13名。

 調査に使用した「動画解析&個別レポート」とは、従来のデジタル連絡帳や保育ICTシステムの枠を広げ、さらなる利便性の向上と個別対応の保育を目指すサービス。「AIを活用した画像解析による子供の発達特性の自動評価」および「自動転記技術」を用い、園児たちの1日の姿を活動量・社会性・感情表現などの観点から分析し、1日のハイライト動画と共にわかりやすく保育者・保護者に伝える。具体的には、「笑顔・喜び」「集中力・熱意」「頑張り」といったカテゴリーで、園児たちのようすをグラフィカルに示すという。

 調査結果によると、保育士ではAIによる「動画解析&個別レポート」の魅力について、「活動記録が所定のフォーマットで自動作成される」「動画解析から子供の活動記録が自動作成される」など、負荷を軽減するツールとして魅力を感じるとの声が多かった。

 また、「担任と子供、子供同士、担任同士の相性が測れる」といった園内の人間関係のマッチング提案や、「動画解析から保育提案がもらえる」という保育提案への期待も高く、実務的な「定型業務」の負荷軽減ツールとして期待されるのがわかる結果となった。

 保育士からの自由記述では、「保育士の感性・目線で書くことも良いが、(AIによる活動記録の自動作成は)間違いないし、論理的。成長が数値化されて、目に見えてわかる形になれば、保育士にとっても保護者にとっても良いと思う」「(AIで子供同士の関係性が測れると)席配置やグループ分けに活用できる。記憶ベースだと曖昧になってしまうし、相性が良いようで揉めやすいなど、さまざまな考慮が必要」といったコメントが寄せられた。

 保護者では、AIによる「動画解析&個別レポート」の魅力について、「発達・個性や才能の発見」に期待を寄せる人が多く、ついで「社会性や人や場面との相性判定」「トラブル防止・チェック」という結果となった。子供の発達状況を把握し、個性・才能を発見するツールとしての支持が高く、社会性を育む個々への相性判定などにも期待されるのがわかる結果となった。 

 保護者からの自由記述では、「『準備が遅い』と言われているが、なぜ準備が遅いのか、子供自身がどのような悩みを抱えているのかがわからないでいた。そういう場面を動画で見ることができれば、子供に対して家庭内でどのようなサポートを提供できるのか、どのように声をかけてあげるべきかがわかる気がする」「親がいないところで見せる子供の新たな一面や、友達との関わり方を見てみたい」などといった声が寄せられた。

 エフバイタルは、東京大学×筑波大学発のスタートアップ企業。医学的エビデンスをもとに、乳幼児を対象に非接触で生体データを取得することで、子供の状態評価・分類、状態に基づいた個別最適化サービスの開発を進めている。ネクストビートとエフバイタル社は、今後も保育業界における最新のAI技術の活用について協働し、連携を強めていくとしている。
<木村 薫>