文科省、留学生の在籍管理が不適正な大学に指導指針

公開日時:2024-05-01 12:45:03  
カテゴリ:教育行政/文部科学省

文部科学省
文部科学省
画像出典:文部科学省
外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針
外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針
画像出典:文部科学省
 文部科学省は2024年4月26日、留学生制度全体の信頼・信用を維持し、留学生の受入れを推進するため、外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学などに対する指導指針を公表した。定期報告により在籍管理状況を確認し、必要に応じて改善へ向けた指導を実施する。

 今回公表された「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針」は、「外国人留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針」(2019年6月)および「教育未来創造会議第二次提言」(2023年4月)を踏まえて作成されたもの。学校教育法第1条に規定する大学・高等専門学校を対象としている。

 指針では、対象学校からの外国人留学生の退学者、除籍者および所在不明者(以下、退学者など)について、毎月の定期報告により、在籍管理状況の確認を明記。必要に応じて書面調査、ヒアリングまたは実地調査(以下、改善指導)を実施する。各対象学校の在籍管理に帰責性のない要因で発生した退学者および除籍者については、定期報告を通じて確認を行う。

 また、毎年5月1日を基準日とし、基準日における各対象学校の全留学生数に対する1年間(4月〜翌年3月)の退学者など(各対象学校の在籍管理に帰責性のない要因で発生した退学者および除籍者を除く)の人数の割合が5%を超える(全留学生数が19人以下の場合は退学者等数が1を超える)状態にある対象学校を「改善指導対象校」として指定。当該対象学校に通知するとともに、文部科学省において公表する。

 なお、改善指導を実施した結果、翌年度または翌々年度において、基準日における1年間の退学者などの割合が5%以下(全留学生数が19人以下の場合は退学者等数が1以下)の状態となった場合には、「改善指導対象校」の指定を解除。逆に、改善指導を実施しても在籍管理非適正の状態が改善せず、3年連続「改善指導対象校」として指定された場合には、当該対象学校を「在籍管理非適正校」とし、当該対象学校に通知するとともに、文部科学省において公表。あわせて、出入国在留管理庁に通告する。

 「在籍管理非適正校」は、指定後、通算で3回在籍管理適正になった翌年度または外国人留学生の在籍者が0になった翌年度に指定を解除する。なお、外国人留学生の在籍者が0になった翌年度に指定を解除する場合は、指定を解除した後、つぎに外国人留学生の募集を行う場合には、改善内容を明らかにした実施計画書を文部科学省へ提出するよう求める。また、その後、初めて外国人留学生の在籍が生じた年度において在籍管理非適正状態となった場合には、直ちに「在籍管理非適正校」に指定することとした。

 指針の対象となる学生は、対象学校に在籍するすべての外国人留学生で、正規課程生か非正規課程生かは問わない。なお、指針は2024年4月以降の退学者などから適用を開始。2025年度以降から「改善指導対象校」、2027年度以降から「在籍管理非適正校」の指定を開始する。
<木村 薫>