【相談対応Q&A】学校アンケートなどを無記名にしてほしい

公開日時:2025-02-14 19:15:03  
カテゴリ:事例/その他

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第216回のテーマは「学校アンケートなどを無記名にしてほしい」。

アンケートを実施し、業務改善へ

 年度末に向けて各種のアンケートが実施されます。今年度の活動を振り返り、次年度の活動をより良いものへとしていくことが目的です。業務改善の方法の1つである「PDCAサイクル」においても「Check:測定・評価」「Action:対策・改善」は、重要な位置を占めています。

 私は「学校(教職員)と家庭(保護者)の関係」について研究をしています。このコーナーでも何度か書いているように大事なことは「情報を集めること」です。保護者が思っている「良いこと」も「悪いこと」もできるだけ情報を手に入れることが学校を良くしていくためには大切になります。学校に対して保護者がクレームなどを言う際は、急にクレームを言う訳ではありません。その前の段階があり、まずは「質問」、次に「相談」という段階を経て、それでもダメな場合、「クレーム」という強い手段に出るとされています。保護者が「あれ?」と思った段階や「これはどうにかならないかな?」と思った段階で、学校と適切にコンタクトを取り、対応をしていくことで多くの問題は解決ができるとされています。

 そういったことの対策の具体的な例が、学校ホームページに問い合わせ用のメールアドレスを載せることや学校行事があった際にコメントなどを書くことのできる用紙を配布することなどです。私は学級担任をしている際、授業参観で配布する文書に保護者がコメントを書くことのできるスペースを作っていました。何か意見がある人は、その部分に書き込んで出すことができるような仕組みにしていました。そうやって良いことも悪いことも情報を集めることで、次への対策を考えることができるようになります。

無記名にすると無責任な意見があがる可能性がある

 ただここで注意することがあります。それは「記名」の問題です。アンケートの際、「無記名」にした方が多くの人の多様な意見を集めることができます。しかし、無記名の場合、無責任なコメントや単なる批判のようなコメントが出されてくる可能性が高まります。匿名性の高いSNSなどの場合、無責任なコメントなどが多数書き込まれ、炎上してしまうというものに似たことでしょう。そういったことを踏まえると、学校のアンケートなどに関しては、私は「記名」でのやり方の方が良いと思います。

 アンケートなどを実施すると、その後の結果報告をする必要があります。先ほども書いたように無記名のやり方でやった場合、無責任な意見が出てくる可能性があります。無責任な意見であってもアンケートの意見として書かれたものについては、学校としてどうするのかを検討し、対応していく必要が出てきます。書く方は思ったことを勝手に書くだけなのですが、対応する方は非常に労力が必要となります。ただでさえ忙しい中で仕事をしている教員がさらに忙しい状況となってしまうこともあり得ます。

 どのようなことに関しても、自分の意見を表明するに当たっては本来発信する人の責任が伴います。こうやって文章を書いている私にもこの文章に書かれていることに責任があります。そういったことと同様でアンケートに意見を書く際も、きちんと自分の名前を名乗ったうえで責任を持って書くという仕組みが望ましいことでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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